◆いじめ「あなたの味方です」 新学期迎えNPO呼びかけ◆

全国の多くの小、中学校、高校で2学期が始まった。いじめなどの悩みを抱えた子どもの電話相談に乗るNPO法人「チャイルドライン支援センター」は新学期を迎えた子どもたちへのメッセージを発表した。「気持ちを聴いてくれる誰かが必要なときは チャイルドラインにかけて」――。
 18歳以下の児童、生徒の相談に乗るチャイルドラインは、46都道府県で78団体が実施する。大津市のいじめ自殺事件を機にいじめ問題への関心が高まる中、「新学期に合わせ、友人との関係や学校生活に悩む子どもたちの不安を少しでも軽く」という思いからメッセージを出した。
 昨年度、全国のいじめに関する相談は約5千件。長期休暇が終わり、新学期の前後には、学校生活への不安を訴える声が多く寄せられるという。
 「チャイルドラインあいち」(事務局・名古屋市)にも2学期が始まった矢先、女子中学生から「夏休みが終わって学校に行ったら、誰も話しかけてくれない」という相談があった。代表理事の高橋弘恵さん(52)は「誰かに話すことで気持ちを整理したり、悩みの解決策を一緒に探したりできる。一人で抱え込まず、電話してほしい」と話す。
 大津市の事件を見ていて「周りに大人の目がありながら、なぜ男子生徒を自殺まで追い込んでしまったのか」と心を痛めた。「教師も保護者も地域の大人も、それぞれが子どもの悩みを受け止める力を試されている」と感じたという。
 6月の1カ月間をみると、チャイルドラインあいちへの電話はいじめの相談も含め7958件で、全国で最も多かった。約70人のボランティア相談員が交代で子どもの相談に乗るが、人手が足りず3、4割程度しか電話を受けられないのが現状だ。
 それでも高橋さんは訴える。「誰にも言えない、自分にとって不利なことを口にするのはとても勇気がいると思う。大人を信じるのが難しくなっているのかもしれませんが、チャイルドラインはあなたの味方です」
 チャイルドラインには四つの約束がある。秘密は守る▽どんなことも一緒に考える▽名前は言わなくていい▽切りたいときに切っていい――。電話相談は月~土曜(愛知は日曜も)の午後4~9時(0120・99・7777)。(小若理恵)
     ◇
学校再開を迎えるみなさんへ
あなたの気持ちを聴いてくれる誰かが必要なときは
チャイルドラインにかけてみて。
大切なのはあなたの気持ち
いじめにあっているあなた、
いじめているのではないかと悩んでいるあなた、
いじめにあっている友人をみているだけのあなた…
どんなあなたも大切だよ

朝日新聞 2012年9月4日‎
戻る

NPO法人設立運営センター